患者さんからの質問(湿潤療法に変えたら浸出液が多くなりましたが大丈夫でしょうか?)

患者さんからの質問
02 /17 2023

40代女性(左上腕Ⅲ度熱傷)

【現病歴】
調理中に衣服に引火し左腕にヤケドをした。近くのクリニックを受診。石鹸洗浄+フィブラスト・バンコマイシン軟膏+デルマエイドで治療していた。しかし皮膚移植が必要だと言われたため、ネットで調べて当クリニックに来院された。

【既往歴】

 なし


以下、患者さんからの質問です。

Q、今まで治療から湿潤療法に変えたところ、液が多くなった気がしますが大丈夫でしょうか?

熱傷´´´´´

【受診当日 受傷43日目】


neltusilyou.jpg

【質問をいただいた日 受傷50日目】

A、今まで行われていた熱傷治療から湿潤療法の治療に変えると、浸出液は多くなります。

いま使われている軟膏や治療材料によって、傷の表面は固く乾燥気味になっています。その状態から湿潤療法を行うと、傷の表面が生き返るため、そこから活発に浸出液が出てくるようになります。そのため、以前にくらべて液が多くなりますが、問題ありませんのでそのまま様子を見て下さい。


こういうキズには使ってはいけない。      (ハイドロコロイド被覆材)

ハイドロコロイド被覆材
02 /08 2023
5歳女児 (右下腿切創)

【現病歴】
外で転んでしまい、自宅にあったハイドロコロイド被覆材を貼って様子をみていたが、翌日になって交換する時に痛がり、どうしたらよいか分からなったためクリニックを受診された。

【既往歴】
なし


以下、ハイドロコロイド被覆材を使用してはいけない創傷です。
ダメハ´´´
このように皮がめくれてしまっているような切り傷は、ハイドロコロイド被覆材をはがず時に傷口が引っ張られてしまい、出血したり傷が開いてしまうことがあるため、使用しないでください。

    ダメハ´´

※写真はDr.NATSUIキズのドレッシング(ふつうサイズ)

この切り傷には、創面に接着しない被覆材である、プラスモイストPや、小さく切ったズイコウパッドが傷にくっつかないため使用しやすいです。

病院選びの最後の決め手はクチコミと電話対応。

その他
01 /30 2023
2019年にスマートホンの普及率が高まり、病院も患者さんに選ばれる時代となりました。その病院選びの最終的な決め手となるのがクチコミと電話対応です。

傷を負ったときに湿潤治療を受けようと思うのは、検索すると出てくる夏井院長のサイトからが多いのですが、そこから受診につながるのは、知り合いからの紹介やネットのクチコミ情報です。「何かあったらなついキズとやけどのクリニックに行ったらいいよ、と聞いていたので受診しました」との有難いお声や、「クチコミで子供に優しいクリニックと書いてあったので、大人にも優しいと思ってきました」など嬉しいお言葉をいただきます。開院6年目のクリニックにしてはクチコミの数は少ないほうだと思います。それは患者さんの自発的な書き込みを望んでいるからです。そのほうが真実の声が伝わりやすいため、院長の考えでそのようにしています。

そしてもうひとつ重要になってくるのは電話対応です。クリニックでは事前に電話で問い合わせをされる患者さんが殆どです。事務の者が応対しているのですが、患者さんの視点に立ったとても細やかなやりとりをしています。それを聞いていて、患者さんの不安が少なく受診できることがクリニック来院につながっていると感じています。

クチコミが様々な形で広がっていくなかで、傷を負ったら「なつい式湿潤治療」と言っていただけるよう、これからもただ誠実に患者さんやご家族と関わっていきたいと思います。

ハイドロコロイド被覆材をはがすときに    皮が引っ張られて痛い。

ハイドロコロイド被覆材
01 /17 2023
60代男性(両手掌多発性擦過傷)

【現病歴】
転倒して両手をついてしまった。
自宅にあったキズパワーパッドを貼っておいたが、心配になりクリニックを受診された。
【既往歴】
心房細動
【医師の説明】
浅い擦り傷や切り傷に市販のキズパワーパッドを使用したは正しい処置でした。ハイドロコロイドが白く溶けなくなるまで1日1回は交換して下さい。



以下、多発性擦過傷で角質が浮いてしまった時のハイドロコロイド被覆材の処置について説明します。
手 裂創
この写真は患者さんが自宅で貼ったキズパワーパッドを剥がした時の写真です。この症例のような擦過傷にハイドロコロイド被覆材を直接貼ると、交換する時に浮いた角質が引っ張られてとても痛くて処置に時間がかかりますがどうしたらいいでしょうか?と多くの患者さんから質問をいただきます。

手 裂創´
このような時には、浮いている角質をできるだけをハサミで取り除き、その後にハイドロコロイド被覆材を貼ると苦痛が少なく交換ができます。

患者さんのひと工夫               (1人で背中のズイコウパッドを交換する方法~シャツに糸で印をつける~)

ズイコウパッド
12 /27 2022
60代男性(背部粉瘤)
【現病歴】
背中の粉瘤。近くのクリニックで手術をして1週間後に抜糸をしたが、帰宅後に出血して傷が開いてしまった。奥様が看護師で湿潤治療について知っていたため、当クリニックを受診した。
【医師の説明】
背中は脂肪の層が厚く、肩甲骨はよく動く部位なので、血液がたまったり傷が開いてしまうことはよくあることです。同じように縫い合わせるとまた開いてしまうので、このまま湿潤治療で治していきましょう。



以下、患者さんのひと工夫です。
数週間ほど奥様が家にいないため、ご自身で交換できる方法を考案されていたので紹介したいと思います。

患者さんのひと工夫´´´
背中に8㎝の離開創。
浸出液が多いことと、傷が閉じるまで時間が掛かることから『ズイコウパッド』を使用しました。

患者さんの工夫´
婦人用の伸縮シャツのパッドが当たる位置に黒い糸で印をしています。
(シャツが汚れないように糸の上をフィルム状のもので覆ったようですが、ズイコウパッドの吸収力が良いために必要なかったとのことです)。

患者さんの工夫
ズイコウパッドとシャツは両面テープで固定していました。


湿潤治療ナース

湿潤治療の工夫や日常の感じたことを紹介させていただきます。
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