延命治療について
高齢者医療意識のない高齢の寝たきりの患者さんを死なせない治療は必要なのでしょうか?
色々と意見の分かれる難しい問題ですが、私は患者さんに負担になるだけの延命治療は必要ないと思っています。
なぜならば、老衰とは死に向かう低空飛行の状態だと思うからです。
私は以前、病棟で働いていて、老衰で亡くなる患者さんも看てきました。当時は死期が近くなると点滴や尿の管を入れ、経鼻胃管や胃ろうからの人工的な栄養補給もフルコースで行われていました。違和感を感じたのは人工栄養でした。時間になると管から栄養剤を入れていましたが、意識がないため食事をしていることも美味しいかどうかもわかりません。家族にとってはそれでも生きていて欲しいという気持ちかもしれませんが、患者さん本人にとっては幸せな治療ではないと感じていました。
現在、延命治療はある程度選択できるようになりましたが、投薬や点滴などまだまだ過剰に行われている治療は多くあります。
老衰とは身体の末端から徐々に機能が失われていき、そこから低空飛行となり死へと向かっていきます。延命処置をするかしないかは、その低空飛行が短くなるか長くなるだけで、決して上昇することはありません。
だからこそ、患者さんに負担となる治療は行わずに、低空飛行のまま安らかな最期を迎えさせてあげることが医療者と家族が最後にできることだと思っています。